先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「これ以上は無理だ、もう吐き気はするしめまいも……」


ヨロヨロと空いているベンチへ崩れ落ち、真っ青な顔を下へ向ける。


もうこれが限界らしいとそれ以上は強制をせず、横へ座って買って来たジュースを差し出す。


「宮澤さん、すみませんでした」
「取材の為だろ、いいか神崎、これでつまらねえデートシーンなんか書いたらどうなるか分かってんだろうな! 」


いつものような強い言葉も、弱々しく聞こえる程衰弱しきっている宮澤さんに対し、僕は自分の膝を指差してそこに頭を置いて横へなるように勧めた。


「少し休んで下さい」
「悪いな……」


断るどころか素直に言うなりに頭を膝の上へコテンと落とし、顔に帽子を乗せる。


サラリと長い黒髪が僕の手に当たり、くすぐったくなるが我慢をした。


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