先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
これからどうしようか、回復するのを待って帰ろうか。


いや、最後のキスシーンの前にパレードを書かなければいけない。


だから見なくては、というのは単なる口実で、本当は宮澤さんとずっと一緒に居たいから。


でも僕は他の男子と違ってあまりアグレッシブではないので、帰さないまま近くのホテルへ連れ込んでなんて思いもしない。


まあそれは、相手が相手だからという事もあるけれど。


宮澤さんがダウンした為、ベンチで動けないまま人間観察をしていたら不意に誰かが近づいて来る。


「神崎君! 」
「あ、原さん! 」


マズい所を見られたなと思ったが、膝の上の宮澤さんは寝ているのかピクリとも動かない。


「君達もデート? 」
「いえ、取材で」


原さんの横には清楚な女性が立っており、2人は仲良く手を繋いでいる。


今、宮澤さんが目を覚ましたら大変だ。


僕達の関係も疑われるし、それに宮澤さんは原さんの事を好きかもしれないから。


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