先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
だが、全く寝付けない。


恋する相手が無防備にも横で眠っている、そんな状況の中でスヤスヤと眠れないのは当然だ。


でも大人しく朝を迎えるまでこうしていなければ、僕の命は腕利きのスナイパーに狙われた要人の如く確実に無くなるだろう。


眠れない、眠らなくてはいけない、だけど、でも……。


気付くと遣り切れない思いを表現するかのように、ベッドの中をゴロゴロと右へ左へ転がっていた。


「うー」


横からの唸り声を耳にし、まずい気付かれたかと急いで体を硬直させて目を閉じる。


そして鼻からスヤスヤとウソの寝息を吐き出し、


『僕は今寝ています』


と見せかけた。


だが、宮澤さんは……。
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