大好き‥だよ。
『どうするも何も‥面倒くさいし、2人も名前書き込め!』

『『えっ!!』』

私と華代の声が重なった。

『だ、だって私も結も立候補してないし‥ね?』

『う、うん‥』

『仕方ないだろ?緊急事態だ。早くこっちに来い!!』

半ば強引に黒板に連れて来られた。それでも納得がいかない華代は、気になっていた事を先生に質問した。

『もしもだけど、この2つのどっちかの先が当たりだったら‥その時は‥』

その先は怖くて聞けなかったらしく、話が途中で止まった。でも、聞かなくても先生の表情から読み取ることが出来た。

「その時は、やれ」

そう訴えていた。


『結、先に書いていいよ』

華代がそう言ってきたので、チョークを持って右端の線の上に名前を書いた。

『はい、華代』

続けてチョークを渡すと、残された線の上に華代はしぶしぶ名前を書き込んでいた。皆が注目している中、思い足取りで席に戻ろうとすると、先生が華代に向かって囁いた。「残り物には副があるって諺知ってるか?(笑)」華代は、ムッとした顔で先生を見たが直に正面を向き、自分の席に着いた。

先生は楽しそうに「じゃあ、答え合わせをするぞ」と言って、1本1本間違いがないように丁寧に線を辿って行った。

1人減り‥また1人減り‥
等々残っているのは、私と華代だけになっていた。

『残り物には副がある‥か』

先生は嫌みったらしく、この諺を繰り返し言った。怒った華代は「いいから早くやってよ」と食って掛かった。先生は鼻で笑い、何を思ったのか華代の選んだ線を先に辿っていた。すると‥


『はい、注目!!
3年1組の副学級長が決定しました。それは‥大原華代です。全員拍手!!』

男子はしっかり拍手をしていたけど、女子の拍手は‥まばらでとてもじゃないけど拍手とは言い難いものだった。
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