大好き‥だよ。
『華代、いつもありがとう。
あっ、そうだ!和樹君にも「ありがとう」って伝えてくれるかな?』

『和樹に?別にいいけど、何かあったの?』

その時、下校時間を知らせるチャイムが鳴ったので、ランドセルの中に教科書とかを入れながら話した。

『この間さ、鳴海君が私の事「結チャン」って最初に呼んだの覚えてる?それを和樹君が止めてくれたじゃん。私うれしかったんだよね。俊チャン以外の男から「結チャン」って言われるのイヤだったから。って「結さん」って呼ばれるのもまだ抵抗あるんだけどね(笑)』

ランドセルの金具をとめて背負うと、華代の様子が少し変だった。

『華代?どうかした?』

覗き込むように下から見ると、私に気付いた。


『あっ、ごめん‥何でもない』

『そう?』

納得したわけではなかったけど、複雑な表情をしていたのでこれ以上追求しなかった。

『じゃ、帰ろうか?』

『うん‥
でもあのとき鳴海君、本当は何て言いたかったんだろう?』

『えっ?』

後半の部分が聞き取れなかった。

『ううん。何でもない』

『本当に?』

『うん!!ってか、他に何か私に言いたい事は無いの?』

『そうだな~‥』

話をはぐらかされた事に気付いたけど、今回は見逃すことにした。


『そろそろ席替えしたいかな。犯人、華代でしょ?』

『あれ?バレてた?』

『ついさっき気付いたところ』

『席が近ければ仲直りすると思ってたんだけどな‥。
でも良かった。実を言うとね、女子から「席替えをしたい」って言う意見を抑えるの限界だったんだよね』

『ごめんね。でも、私の為にありがと』

『いいえ。親友のお願いなら副学級長の権力使っちゃいますよ(笑)』

大笑いをしている華代の手を掴んで、まっすぐ前を向いて歩き始めた。
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