大好き‥だよ。
『はっ?今何か言った?』

『あっ、ううん。それより、私の横の席って誰なの?』

注意を引くために大袈裟に辺りを見渡した。すると、後ろから声が聞こえてきた。

『俺だよ』

声に反応して振り返ると、扉に背をつけて鳴海君が立っていた。

『鳴海君‥』
『結さんが隣の席なんて嬉しい』

本当に嬉しそうな顔をしていたので、その顔を見て私も少し嬉しくなった。

『前は前後だったけど、今度は横だね』

『だね。前は和樹か~』

『何だよ、その言い方!俺じゃ不服か?』

『そうは言ってないだろ?』

『俺にはそう聞こえたの。あ~ぁ、これで近くに俊がいたら良かったのにな』


俊チャン‥か‥

次第に表情が曇っていくのが分かった。
2人に気付かれないように、必死で笑顔を絶やさないようにしてたけど‥それが作り笑いだってことは、鳴海君には分かっていたようだった。目が合うと、ニコッと笑って和樹君に話しかけた。

『和樹の場合、俊より大原さんと席が離れた事が寂しいんだろ?』

『悠も桜井と同じこと言うのか!このっ!』

鳴海君に掴みかかった。

『ちょっと待った!セットした髪は触るなよ!!』

何だかんだ言って、二人はネコみたいに楽しそうにじゃれ合っていた。そんな姿を見ていたら少し笑えてきた。

『何笑ってるんだよ?』

『別に~。ただ‥』

そう言って窓の方を見た。

『ただ、何?』

『‥‥‥』

『結‥さん?』

『ひまわりと離れちゃったなって‥思ってさ』


席替えをするまでは快晴だったのに、今は太陽が雲に隠れてしまった。その為か、何だかひまわりも元気がなかった。

後で水あげよう‥心の中でそう思った。
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