大好き‥だよ。
次の日、教室に入ると和樹君が既に席についていた。後ろからじゃよく分からないけど、ペンを動かしているから何か書いているんだろう‥?私は、普通に声をかけた。

『和樹君、おはよう』

すると、慌てて振り向いて後ろの方で何かを隠していた。

『何だ~桜井か。おう、おはよう』

『ねぇ~今、何か隠したよね?何してたの?』

『えっ!!!イヤ‥別に何も‥そう、何も隠してない‥』

何故かシドロモドロになっている和樹君。あからさまな態度に少し笑えてきた。

『まっ、いいけどね(笑)』

『ってか、桜井こそ来るの早いな。宿題やってないとか?』

『違うよ!ひまわりにさ、水をあげようと思って』

『へぇ~。昨日から思ってたんだけどさ、花好きなんだな』

『えへへっ』

席を立ってベランダに向かおうとすると、和樹君が誰かに向かって「おはよう」と挨拶をしていた。「誰が来たんだろう?」後ろを振り返ると、目の前にいたのは俊チャンだった。一瞬体が止まった。でも、すぐに「おはよう」と普通に挨拶の言葉が出た。

『うん、おはよう』

俊チャンもまた、普通に挨拶を返してくれた。たったそれだけの事なのに‥凄く嬉しかった。

『俊、悠が来るまでここに座れば?桜井も水遣り、今じゃなくても平気だろ?』

『‥ん~大丈夫だけど?』

『じゃあ、久しぶりに3人で話そうぜ(笑)』

そう言って私たちを手招きするので、指定された席に座った。


『何か、こうやって話すのって久しぶりじゃね?』

『だな。3人は珍しい』

『うん‥』

『またボール探しとかしたいな!』

『ヤダよ~面倒くさい。やるなら和樹一人でやれよ』

『うん‥』

『って、何だよ桜井!さっきから「うん」しか言ってねぇよ』

『うん‥‥あっ!!』

慌てて口を抑えてから2人を交互に見ると、2人ともお腹を抱えて笑っていた。その姿を見たら、私まで楽しくなってきた。


『ホント天然だよな。俊もそう思うだろ?』

俊チャンが私の事をどう思っているのか気になって、思わず見つめてしまった。

『あぁ、保育園からそうだもんな。ってか‥』

そう言って、私の目を右手で隠した。
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