大好き‥だよ。
『見すぎ(笑)』

『えっ!?』

誰かが開けた窓から、冷たい空気が流れ込んできた。冷たくて静かな空気はとても心地よくて、私は妙にはしゃいでいた。

『手どけてよ!見えないじゃん』

『見なくていい』

『何で?』

『何でも』

『答えになってないよ!』

『なってなくていい』

『もう。和樹君からも何とか言ってよ‥‥あれ?和樹‥君?』

俊チャンの手を掴んで、無理矢理下に下げると何処にもいなかった。すると、前の方から華代の声が聞こえた。

『朝から痴話げんか?』

『華代~』

『和樹がね、そこに居づらいっていうからさ。後は2人でって』

『えっ?』

『でもさ~教室で堂々と手を繋ぐなんて‥私たちより熱々だね(笑)』

『だよな(笑)』

左手に少し力を入れると、人の手の感触を感じた。ゆっくり視線を下げると、私は俊チャンの手を‥!!!


『ご、ごめん!!』

慌てて手を離した。俊チャンは掴まれていた手を頭の後ろにもっていき、髪の毛をクシャクシャに掻いていた。

『イヤ‥こっちこそ‥ごめん』

『う、ううん』

その後、長い沈黙が続いた。

この沈黙に耐えられなくなったのは私の方だった。


『ひまわりに水、あげてこよっと』

俊チャンと視線を合わすことなく、逃げるようにその場から離れた。


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