大好き‥だよ。
『びっくりしたぁ~』

しばらくドキドキは止まらなかった。


結局その日は何にも手につかず、ずっと左手を見てはニヤけていた。

『何か良いことでもあった?』

授業中に鳴海君が話しかけてきた。

『ん?‥う~ん。どうだろ(笑)』

『どうせ‥だろ?』

『えっ?今何て言ったの?』

『別に何も』

鳴海君は私の方を向いて座っていたので、黒板の方に向き直って授業に集中していた。その後、何度か横を向いたけど一度も私を見ることはなかった。

休み時間になり、机の上に置いてある教科書を片付けている最中に話しかけようと試みた。だけど、どうしようかな?と考えているだけで、実行に移すことが出来なかった。しばらく黙っていた鳴海君は、腕組みをして尖った声で言った。

『何?』

『えっと~‥』

頭の中では面白い話をしろ!!という指令が出ていた。一生懸命になってネタを集めたけど、どれも今の雰囲気とは明らかに違うことに気付いた。

なんか‥気まずい‥

怖いくらい静かだった。

誰かに助けを求めようと、辺りをキョロキョロしていると華代が近づいてきてくれた。

『結、話があるんだけど今大丈夫?』

『うん!!ベランダに行こっか』

声が裏返ってしまい、冷や汗が出た。


ぼんやりとベランダに座っていると、華代の質問攻めが始まった。もう少し頭の中を整理してから話したかったけど、助けてもらった恩があるので一つずつ答えた。

『鳴海君と何かあったの?』
< 131 / 270 >

この作品をシェア

pagetop