大好き‥だよ。
『別に何も無いと思う‥?』

『じゃあ、どうして鳴海君はあんなに不機嫌なの?』

『分からない‥。私、何か気に障ること言ったのかな?でも、授業中に話しかけてきたのは鳴海君の方だったし‥』

近くにあった小石を中庭に向かって投げた。狙った所に当らなかったので、何個も何個も続けて投げていると、華代の質問が再開した。

『さっきのも含めてなんだけどさ、結が何を考えている時に鳴海君は変わる?』

『何を考えている時?』

『ん~‥それか、誰かを想っているときでも良いんだけど』

誰かを想っているとき?
さっきは俊チャンの事を考えているときだったけど、それが何か関係あるのかな?

首を横に傾けていると、華代も小石を投げ始めた。

『心当たりがある人、いるみたいだね』

『でもそれって‥』

『鳴海君も大変だ』

『えっ!?』

『勝ち目が無い試合をするのって、結構苦しいと思うんだよね』

『どういう意味?』

『いいの、結はまだ知らなくて。それより、俊君と仲直りしたんだね!よかったじゃん』

『それは‥』

『やっぱ2人はお似合いだよ』

華代は笑っていたけど、私は笑えなかった。鳴海君の様子が気になっていたからじゃない。今朝の態度は俊チャンの優しさだと分かっていたから。あれくらいのこと、きっと他の女の子にもしてるって‥そう思ったら、石を投げていた手が止まった。


『ねぇ~結。確かに彼女じゃないって俊君言ったよ。でもさ、好きじゃないって言われた訳じゃないんだからさ、頑張ってみたら?もしかしたらなんだけどね‥俊君って優しいじゃん?何となくでも鳴海君の気持ちに気付いてるんじゃないかな?』

『鳴海君の気持ち?』

『そう。だからあの時、あんな事を言ったんだと思うんだ。でも、そのことによって結を傷つけた。だから自分の気持ちを隠そうとしているんじゃないかな?今の結と同じように』

『俊チャンも私と同じ?言ってることが良く分からないんだけど‥。何か知ってるの?』

華代は首を横に振り、続けて話した。

『って何言っちゃってるんだろうね。私の考えが正しいなんていう証拠、何処にもないのにさ。でも、そのうちはっきりすると思うんだ』


華代が言った通りの出来事が、数日後本当に起きた。
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