大好き‥だよ。
教室を出て、すぐ目の前にある階段を上ると教室が3つある。手前2つの教室は5年生が使っていて、奥にある残りの1つの教室はパソコン室だ。

パソコンの授業は、高学年にならないと始まらない。それなのに、中学年である私たちが使用できるのには理由がある。それは、担任の先生の専門分野が「コンピューター」だからだ。つまり特別扱いをされている。

初めてパソコン室から出たときは緊張した。

教室を出てすぐ隣には、5年生の教室があるから何か言われるんじゃないかと‥。中には、5年生の教室の前を通らず、遠回りして自分達のクラスに戻る生徒もいた。それくらい「高学年」という地位は恐れられていた。


ある日、戸締りを頼まれた華代と私はパソコン室を最後に出た。

『戸締り良し!じゃあ、教室に戻ろっか』

『そうだね』

微笑みながら振り向くと、タイミングよく教室から出てきた5年生と目が合った。

『あっ!』

先輩は、真剣な顔で私たちの方に向かって歩いてきた。鍵をかけてしまったので、パソコン室に戻ることは出来ない。左からは、5年生らしき人が数人でこっちに向かってくる‥私たちは追い詰められ、絶体絶命のピンチにたたされた。

『あのさ~』

『『はいっ!?』』

恐怖から声が裏返った。
何を言われるんだろう‥歯を食いしばって怯えた目で先輩を見た。「あれ?」どっちかと言うと、先輩の方が怯えているように見えた。

『あのさ、お前たちって堀内のクラス?』

『あっ!はい。そうです‥けど』

『‥パソコン室から出てきたって事は、さっきまでパソコン使って何かやってたのか?』

『はい。まだ触り程度ですけど‥』

『そうか。
パソコン、楽しいか?』

予想外の質問に私たちは見つめ合った。
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