大好き‥だよ。
『鳴海!!始める前に、1人でも多くの人とメールして楽しめって言ったよな。なのにどうしてお前は、1人の人としかメールのやり取りをしなかったんだ?』

先生は首を横に傾けて鳴海君を見た。

『その人に伝えたいことがあったので』

『何だ何だ、告白か?確かに始める前に告白でも何でもしろとは言ったけどよ(笑)』

『何でもいいじゃないですか』

『まぁな。それで伝えたいことは伝えられたのか?』

『はい。でも、途中から返信が来なくなりました。後で話しかけようと思います』

『そうか。まっ、頑張れよ。
って事で今日のパソコンの授業はこれで終わりにする。パソコンの電源を切った人から教室に戻っていいぞ』

私はすぐにパソコンの電源を切って華代の元に駆け寄った。

『早く教室に戻ろ?』

『あっ、うん。いいけど‥』

華代は不思議そうな顔で私を見た後、和樹君に向かって叫んだ。

『和樹、結と一緒に先に教室に戻ってるね』

『ちょっと待った。俺らもすぐに行く』

教室の外で待っていると、すぐに和樹君と俊チャンが教室から出て来た。自然に華代と和樹君、私と俊チャンペアに並んで教室に向かって歩き出した。まだ授業中という事もあって、廊下はとても静かだった。華代たちの楽しそうな話し声が廊下に響いた。

最後のメール‥何が聞きたかったんだろう?

俊チャンから話してくれるのを待ったけど黙り込んでいた。だから、私から思いきってその話題を切り出すことにした。


『ねぇ~俊チャン。さっきのメールの事なんだけどさ、聞きたいことがあるって言ってたじゃん。それって何?』

俊チャンがどんな表情をしているのか気になったので、前と横を交互に見ながら歩いた。俊チャンは、しばらく私の顔を何も言わないで見ていたけど、階段に近づくと前を向いてしまった。

『あの‥さ‥』

『ん、何?』

階段の前で突然、俊チャンが足を止めた。

『さっきの授業の事なんだけどさ、悠とはメ‥』

俊チャンの表情が曇っていくのが分かった。

『どうしたの?俊チャン‥』

ふと後ろを振り返ると、そこにいたのは鳴海君だった。

『鳴海‥君』

どんな顔をすれば良いのか分からなかったので、下を向いた。
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