大好き‥だよ。
『結さん、話があるんだけど今いいかな?』

どうしたら良いのか分からなかったので俊チャンを見た。俊チャンもまた私を見ていたけど、すぐに鳴海君に視線を向けた。

『じゃあ、俺は和樹たちと先に教室に戻ってるな』

そう言って階段を1歩降りたとき、鳴海君が叫んだ。

『俊もここにいてくれないか』

その瞬間から空気が変わった。私たちの周りには不穏な空気が漂っていた。と同時に、鳴海君の目つきも変わっていった。

『結さん、さっきの授業の事なんだけどさ‥後ろの席っていうユーザー名は俺なんだ。気付いてた?』

私は思いっきり首を横に振った。

『そっか。結さんって打ったから気付いたと思ったんだけどな』

鳴海君は苦笑いをしていた。

『誰かのいたずらだと思った?』

今度は大きく頷いた。

『そっか。そうだよね‥急にあんな内容のメールを送ったら本気だとは思わないよね。俺もそう思ったんだ。だから、今度はちゃんと言葉で伝えようと思って』

鳴海君が真剣な目つきで私を見てきた。

『俺、結さんが好きです。ずっと前からっていうか、転校初日から気になってました。俊には気になる人がいるとは言ったけど、それが誰なのかは言ってなかったな。俊は気付いてたか?』

どんな表情をするのか気になったので俊チャンを見た。でも、俊チャンの表情は微動もしなかった。それって‥

『やっぱ気付いてたんだな。俺って分かりやすいのかな?(笑)』

こんな時でも鳴海君は笑えるほど冷静だった。

『結さん!!』

『はいっ』

今までに経験したことのない緊張が一気に押し寄せてきて、声が裏返った。

『俺、和樹が大原さんにしている以上に結さんを大切にします。だから、俺と付き合ってください』

『ちょっ、えっ?あの、頭上げて?』

鳴海君が頭を下げたのを見て慌てふためいてしまった。

『ごめん。困らせるつもりは無かったんだ。っていうか、正直こんなに困るなんて思いもしなかった』

『ごめんなさい‥』

『いいんだよ。
返事は今すぐじゃなくていいから。ゆっくり考えて、それから答え聞かせて』

『はい‥』

『じゃあ、先に教室に戻ってるね』

鳴海君は軽快に階段を降りていった。
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