大好き‥だよ。
あのメール‥本当に鳴海君からだったんだ。悪い事しちゃったな。誰かにからかわれてると思って、途中から返信しなかったよ。だって私の事が気になってたなんて‥そんな素振り全然してなかったし。

でも転校初日からって‥あの日、鳴海君とどんな会話をしたっけ?先生の提案でクラス全員でサッカーして、はしゃぎ過ぎて和樹君だけ体育の時間は見学になって。元気づけようと休み時間に華代とトイレに行って‥和樹君は元気になったけど、その後俊チャンに‥‥思い出したら悲しくなってきた。

そういえば、俊チャンが気付いていたのって本当なの?華代も和樹君ももしかして気付いてたのかな?知らなかったのは私だけ?眉間にしわを寄せ目を細めて天井を見た。


『悠ってイイ奴だよな』

背中の方から俊チャンの声が聞こえた。だけど、その声に答える事が出来なかった。この状況で中途半端な気持ちでに答えることは2人に失礼だと思ったから。

何の反応も起さない私の様子に気付いた俊チャンは、静かに階段を降りていった。ちょうど階段を半分降りたところで私は囁いた。

『華代に‥』

視線は天井に向けたままだったけど、俊チャンが立ち止まったのが気配で分かった。たぶん俊チャンの視線も私にではなく他の場所だと思う。それでも私は続けて言った。

『華代にさ、4時間目は休むって伝えといて。プリンまでには戻るから心配しないでって』

『‥分かった』

そう言ったきり黙って残りの階段を降りていった。教室の扉が開く音を確認してから、ある場所に向かってゆっくり歩き出した。
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