大好き‥だよ。
ガチャガチャ
壊れている鍵穴を上手く調節して錆びている扉を開けた。一歩踏み出すと、地面は緑色のタイルで敷き詰められ、白い柵で囲まれている。多少違和感はあるが、それでも天井がないぶん開放感もある。
大きく背伸びをしたあと、中央まで歩き仰向けに寝転んだ。
今日の太陽はご機嫌。
雲と風はおにごっこでもしてるのかな?雲の動きを見ながら、心地よい風を肌で感じていた。
私はこの場所が大好きだ。
始めてここに来たのは1年の夏だった。当時の担任の先生が突然「雲をスケッチをしよう」と言い出したのがきっかけだ。蟻の行列みたいに一列になってここまで来た。
あの頃はまだ、先生の持っている鍵さえあれば自由に出入りが出来ていた。あの日も、先生の持っていた鍵を使って扉を開けた。
最初に目に付いたのは強烈な緑色の地面だった。そんなに広くないのに、何故か広く感じたのを今でも覚えている。気分が高揚する色でもあった。そこに、クラス全員で座り右手にペンを持った。
『感じたままに描いてください』
先生の話が終わり画用紙を見つめた。白い画用紙に白い雲‥どうやって雲を表現すればいいんだろう?なかなかペンが進まなかった。そんな時、頭上から鳥の鳴く声が聞こえた。その声に惹き付けられるように空を見たけど‥鳥はいなかった。そのかわりに、青と白の2色に心を奪われた。
青い空に白い雲‥‥いつの間にか、その場で仰向けに寝転んでいた。ゆっくりと動く雲が心地よかった。心地よすぎて当初の目的をすっかり忘れてしまった。
暫くして先生が様子を見に来た。
『あら?』
何も描いていないことを注意されると思っていた。でも、先生は私に微笑んだ。
『そうね。こういうのもありなのかもね』
それだけ言うと、他の人の絵を見に行ってしまった。目を見開いて先生を見ていたけど、小さく微笑んだ後、再び仰向けになって心ゆくまで見続けた。
それからは、何かあるたびにこの場所に来ていた。
気分が落ちているとき、何も手につかないとき‥私はいつでもこの場所で自分を見つめていた。ここから出るときは、前向きな自分に生まれ変われていた。
そして今も‥
導かれるようにここに来た。
壊れている鍵穴を上手く調節して錆びている扉を開けた。一歩踏み出すと、地面は緑色のタイルで敷き詰められ、白い柵で囲まれている。多少違和感はあるが、それでも天井がないぶん開放感もある。
大きく背伸びをしたあと、中央まで歩き仰向けに寝転んだ。
今日の太陽はご機嫌。
雲と風はおにごっこでもしてるのかな?雲の動きを見ながら、心地よい風を肌で感じていた。
私はこの場所が大好きだ。
始めてここに来たのは1年の夏だった。当時の担任の先生が突然「雲をスケッチをしよう」と言い出したのがきっかけだ。蟻の行列みたいに一列になってここまで来た。
あの頃はまだ、先生の持っている鍵さえあれば自由に出入りが出来ていた。あの日も、先生の持っていた鍵を使って扉を開けた。
最初に目に付いたのは強烈な緑色の地面だった。そんなに広くないのに、何故か広く感じたのを今でも覚えている。気分が高揚する色でもあった。そこに、クラス全員で座り右手にペンを持った。
『感じたままに描いてください』
先生の話が終わり画用紙を見つめた。白い画用紙に白い雲‥どうやって雲を表現すればいいんだろう?なかなかペンが進まなかった。そんな時、頭上から鳥の鳴く声が聞こえた。その声に惹き付けられるように空を見たけど‥鳥はいなかった。そのかわりに、青と白の2色に心を奪われた。
青い空に白い雲‥‥いつの間にか、その場で仰向けに寝転んでいた。ゆっくりと動く雲が心地よかった。心地よすぎて当初の目的をすっかり忘れてしまった。
暫くして先生が様子を見に来た。
『あら?』
何も描いていないことを注意されると思っていた。でも、先生は私に微笑んだ。
『そうね。こういうのもありなのかもね』
それだけ言うと、他の人の絵を見に行ってしまった。目を見開いて先生を見ていたけど、小さく微笑んだ後、再び仰向けになって心ゆくまで見続けた。
それからは、何かあるたびにこの場所に来ていた。
気分が落ちているとき、何も手につかないとき‥私はいつでもこの場所で自分を見つめていた。ここから出るときは、前向きな自分に生まれ変われていた。
そして今も‥
導かれるようにここに来た。