大好き‥だよ。
掃除が終わり、教室に戻っても私は呆然としていた。嬉しそうに帰っていく友達を見送ることもなく、何となくひまわりを眺めていた。

『結さん、帰らないの?』

『うん‥』

『そっ。じゃあ、また明日ね』

『うん明日』

悠君の顔を一度も見ることなく会話が終わった。すると、今度は華代と和樹君が近づいて来た。

『あれ?結帰らないの?帰り支度もまだみたいだし‥』

『うん。もう少し見てから帰るよ』

『そう?私たちは帰るけど‥』

頭を横に傾けて私を見ていた。華代を安心させるように微笑んだ後、和樹君が立っている方を向いた。

『和樹君、華代をお願いね』

『おっ、おう。任せろ‥?』

『じゃあね、華代』

『う、うん‥じゃあ、また明日』

何度も後ろを振り返りながら2人は帰って行った。教室に残っているのは私1人。教室を見渡した後、立ち上がってベランダに向かった。


『元気?少し風が冷たいけど大丈夫?
きみは本当に素直でいい子だね。太陽が元気だときみも元気になる。水をもらうと生き生きと伸びていく。そんなきみが時々羨ましく思うよ』

周りから見れば独り言のように見えるかもしれない。でも、私にとってはひまわりとのちゃんとした会話だった。

『私は全然ダメ‥
話したいって思っても行動に移すことが出来ないの。隣で笑っていたいのに、一緒に帰りたいのに‥そういう思いを伝える勇気もないの。どうしたらいいんだろうね?どうしたらきみみたいに素直になれるんだろう』

日が暮れてきて、ひまわりも少しずつ頭が下がってきた。

『そっか。もう寝る時間だね。ごめんね?今度は楽しい話をしようね』

立ち上がってお尻についた砂をはらっていると、先生が顔を覗かせた。

『おい。教室に残ってろって言わなかったか?』

『へっ?』

『まぁいいや。とにかく教室の中に入れ』

『あっ!はい』

前の扉から教室に入り先生の机の前に近づいた。
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