大好き‥だよ。
それから何日か過ぎ金曜日が来た。

いつもと変わらない授業、いつもと変わらない日常生活のはずなのに、心ここにあらずといった体だった。

時折、悠君に「大丈夫?」と心配されたけど条件反射で笑い、その後は遠くの方をじっと見ていた。やっぱり今日の私は変なのかもしれない‥。その後も、体勢を変えることなく机に肘をつけてぼんやりとしていた。

背後から冷たい風を感じて我に返ると、みんなは机の上に椅子を逆さにして置いて、私が動くのを待っていた。

『あれ?』

惚けた声を出すと「早くして!!」と急かされたので、慌てて掃除の準備を始めた。昨日と全く同じ事をしているはずなのに、手が震えて思うようにほうきを使うことが出来なかった。みんなに笑われながらも、15分後掃除が終了した。

風が教室の中に流れ込んできて、少し寒いと思い始めた頃、先生が教室に戻ってきた。これからの事で何か言われるんじゃないかと瞬時に思った私は、今日一番の積極さをアピールした。それを感じ取ったのか、先生は笑いながらホームルームを始めた。

『さて、月曜日なんだけどな‥』

最初の連絡は、来週の月曜日の朝に予定されている音楽練習の事だった。8時15分から15分間、全校生徒が体育館に集合して練習するらしい。週末明けの朝の行事は、未だに慣れない。朝はゆっくり寝かせて欲しいといつも願っていた。

『次は‥』

その後も連絡事項は続いた。まだかな、まだかな‥と期待して待っている時ほど長く感じるとはこの事だと思った。その後も先生はじらし続け、私が欲しかった情報は、一番最後だった。

『最後に、松浦と桜井はこの後教室に残って約束どおり今日の宿題をやってけ。そうだな‥』

先生は私と俊チャンを交互に見たあと、私を指差して言った。

『どうせ2人しか残ってないんだし、大原の席でやれ。いいな?』

『あっ、はい‥』

返事をすると、3姉妹を始めクラスの女子が一斉に後ろを振り返った。私は皆とは対象に一番前の席を見つめた。
< 161 / 270 >

この作品をシェア

pagetop