大好き‥だよ。
『じゃあ、今日のホームルームはこれで終わりにする。解散!!』

と言ったところで、数人の女子が私の周りを囲んで「どういう事?」と叫び始めた。

『どういう事って言われても‥』

ぶつぶつ言いながら、ランドセルの中に教科書や筆箱を入れて華代の席に向かった。ありの行列のように、みんなも後を着いて来た。

『だから、どうして俊君と結が残るのよ?』

ため息交じりで答えようとすると、呆れた顔で俊チャンが答えた。

『俺ら今日から陸上クラブに入部したの。それで、練習まで時間があるから残って宿題やれって先生に言われただけ。何ムキになってるんだよ?』

それだけ言うと、立ち上がって和樹君と悠君のいる方へと歩き始めた。私たちに向けた表情とは打って変わって、2人の前では無邪気な笑顔だった。

『今の話本当なの?』

今度は華代の質問が始まった。

『あっ、うん‥。
この間教室に戻ってたら、何かそんな流れになってて』

『何で今まで何も言ってくれなかったの?あれから何日過ぎてると思ってるの!』

華代が怒鳴る気持ちも分かる。だから何も言わずに黙って怒られ続ける覚悟をした。すると華代は自分の荷物を片付け始めた。

『華代‥?』

恐る恐る名前を呼ぶと華代の手が一旦止まった。

『この机で宿題するんでしょ?』

『うん‥』

『まぁ~結は、このクラスの女子の中で一番足が速いし?いいんじゃないの。私は応援するよ!だから‥』

正面に向きなおして私の両手を掴んだ。

『頑張って』

強く掴まれた手は、少しだけヒリヒリと痛んだ。

『ありがとう』

華代と微笑み合っていると、教室の後ろに集まっていた男子3人も私たちの様子を見て笑っていた。
< 162 / 270 >

この作品をシェア

pagetop