大好き‥だよ。
『納得できない!!』

突然、一人の女子が先生の机に両手を叩いた。

『結が陸上やるなら私もやりたい!!』

一人が言い出すと、次から次へと「私も!!」という声が教室内に響いた。さすがにこの勢いには、先生だけでなく男子も押されていた。

『今日から練習が始まるんでしょ?だったら今からコーチとかにお願いすれば間に合うんじゃないですか?』

必死に説得していたけど、先生は背もたれに寄りかかって欠伸をしていた。

『もう、先生ってば!』

お腹を擦って起こすと凄く機嫌が悪そうだった。

『だから言ったろ?この間言った日が締め切りだって。お前等そんなに陸上やりたきゃ学校の校庭でやれよ。何なら体育の時間に陸上でも良いし。ってか、面倒くせぇ~な‥』

少ない髪を右手で掻き上げたあと、重い体を起こした。

『ほら、お前等もう帰れよ!ホームルーム終わったんだぞ』

『ちょっ、ちょっと!!』

机の前にたまっていた女子は先生に背中を押されて、あっという間に廊下に放り出された。

『また月曜日に学校でな。遅刻すんなよ』

『しませんよーだ!!』

先生に向かって舌を出した後、駆け足で下駄箱に向かって行った。

『何だあれ?(笑)
ほら、お前らも帰れ。教室に残って良いのは松浦と桜井だけだ』

『仕方ない‥華代帰るぞ~』

『あっ、うん』

和樹君に返事をした後、私の耳元で囁いた。

『恋も陸上も頑張ってね』

私の髪の毛をクシャクシャにした後、嬉しそうな顔で和樹君と悠君と教室を出て行った。

『さて、静かになった事だし宿題始めろよ』

華代の席に着いてノートを開くと、隣の席に俊チャンが座って静かに筆箱からシャーペンを取り出した。
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