大好き‥だよ。
『何だよあれ‥』

俊チャンは力なくぼやいた。

『分からないの?』

そう聞くと、俊チャンは首を横に振った。

『ホワイトデーって来月だよな?』

千鶴の決死の告白が伝わっていなかった。ライバルの気持ちを伝えるべきか、それともこのままにしておくべきなのか。今日は選択を迫られる事が多かった。

でも今回もまた、千鶴の為に何もしてあげる事が出来なかった。


俊チャンは和樹君の席に座ったので、私は自分の席に座った。隣でも前でもなく、丁度いい距離が保てていた。

机の横にランドセルをかけ、一呼吸をした。

『ねぇ、俊チャン‥』

『何?』

『その‥えっと、あのね‥』

中々本題を切り出せないでいると、後ろの扉から冷たい風が教室の中に流れ込んできた。もしかして‥

ゆっくりと振り返ると、華代と和樹君が覗いていた。

はぁ~‥やっぱり

張り詰めていた気持ちが抜けていくのが分かった。

『かーよ』

ため息交じりに言うと、申し訳なさそうな顔で華代が教室の中に入って来た。

『お、おはよう結!俊君』

『おはよう。和樹もおはよう』

『おはよう。
ってか、教室に2人きりで一体何してたん?(笑)』

和樹君は肘で俊チャンの腕を突いていた。

『別に何もしてねぇよ。さっきまでもう一人いたんだけど何処か行っちまってさ』

『もう一人って誰?』

『えっと~‥』

俊チャンは私に助けを求めて来た。

本当に分からないの?4年間同じクラスなのに?千鶴が少しだけ哀れに思えた。

『あっ!千鶴がね、さっきまで教室にいたんだよ』

俊チャンの代わりに私が答えた。
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