大好き‥だよ。
『へぇ~珍しいな。こんなに早く登校してくるなんて。何か用事でもあったのか?』

『さぁ』

俊チャンが黒板の方を向くと、和樹君はあるものに気付いた。そのまま見なかったフリをしてくれれば良かったのに、身を乗り出してキラキラした目で俊チャンを見つめた。

『なぁ~、チョコ渡す為に早く来たんじゃねぇの(笑)』

『『ちょっと!!』』

私と華代は慌てて止めに入った。

『和樹、そういう事は気付いても気付かないフリをしないと』

『そういうもんなの?』

『そういうものなの!!』

華代に怒られて沈んでしまっているようだ。俊チャンに慰めてくれとお願いをしていた。でも俊チャンは俺から離れろと、和樹君を引き離すと、ますます悲しそうな顔をしていた。

どうせ俺なんて‥

何度も同じセリフを繰り返し呟いていた。そんな和樹君の態度に嫌気が差した華代は、ランドセルからあるものを取り出した。

『和樹。はい、これ』

横目でそれを見ながら華代から受け取った。

『今日バレンタインでしょ。本命チョコを和樹に』

満面の笑顔の華代とは違って、和樹君はちょっとビックリしていた。

『俺に‥?』

『和樹以外、誰にあげるって言うのよ』

それを聞いて、和樹君は私たちの周りを小走りで動き回った。

『やった!!華代が俺にチョコをくれた。本命だってさ』

上機嫌でいる和樹君を俊チャンが制止した。

『ったく。さっきまでジメジメ落ち込んでいたんじゃねぇのかよ?急に元気になりやがって』

『さっきはさっき、今は今。華代、ありがとう』

『どういたしまして』

華代と和樹君は見つめ合って微笑んでいた。
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