大好き‥だよ。
『あぁ~もう!!それ、誤解だよ』

『誤解って。だって‥』

私が話している最中に俊チャンは動き出し、扉に一番近い椅子に座った。刺々しい雰囲気から一転して、とても静かな空気が流れ始めたとき、俊チャンは囁くように話し始めた。

『バレンタインの日、確かに告白されたよ。それは事実だ‥』

私は静かに聞いた。

『でも断った。チョコは受け取れないってキッパリ。
そしたら、俺の気持ちは分かったって納得してくれたけど、一つお願いがあるって言われたんだ。それが、放課後クラスの奴らと一緒に遊びたいって事だったんだ。

俺だって少しは悩んださ。でも、見学じゃなくて一緒にやりたいって言われたら断れないだろ?だから了承したんだ』

『そう‥だったんだ‥』

私の早とちりだった事が分かり、急に恥ずかしくなり両手で顔を隠した。

『そうならそうと、和樹君か悠君に言ってくれればよかったのに。そしたら‥』

『そしたら何?』

俊チャンはくすくすと笑い出した。

『何が可笑しいの?』

『だって、そんな事くらいで俺に女がいるって思うなんてさ。思い込みが激しいなと思ってさ』

横を向いて足を組み始めた。
私の困っている顔を見て、ただ笑っている俊チャンに仕返しをしたくなった。何か無いかな‥辺りを見渡すとある物が目に付いた。

『俊チャンだって誤解してるよ‥』

『俺が誤解?』

顔を上げて反撃を始めた。

『さっきも言ったけど、本当に悠君とは付き合ってないの。それに、私がバレンタインにチョコをあげたのは‥一人しかいないんだよ。本人は気付いてないと思うけどね(笑)
俊チャンこそ、これで2回目だよ。思い込みが激しいのはしゅ‥』

笑ってくれると思ったのに、プレゼントに目を凝らしていた。

『どうしたの?』

そう聞いてみたけど、俊チャンは口を閉じたままだった。
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