大好き‥だよ。
『ねっ!体育館まで競争しない?』

『いいぜ。
じゃあさ俺が勝ったら、放課後は今まで通り俺らとの遊びに付き合う事。いい?』

『いいよ。じゃあ私が勝ったらね‥』

『無理無理。俺に勝てっこないんだから条件は考えなくて良いし』

『何その言い方。絶対勝ってみせるんだから!!』

”よーい、スタート”の掛け声と同時に体育館に向かって走り出した。始めはトントンくらいだったけど、50メートルを過ぎた辺りから徐々に距離が開いていって、最終的には5秒くらいの差でゴールをした。その上、俊チャンはというと全く息が上がっていなかった。こんなにも体力に差がついていたなんて思いもしなかった。

『な、なんで‥こんなに‥‥なの?』

疲れていて上手く話せないでいると、俊チャンはちゃんと解読して答えてくれた。

『俺さ、陸上の大会が終ってからも走り込みは欠かさずやってるんだよね。だからだと思うよ。あっ!それから‥』

”約束は守ること”

耳元でそう囁いて、クラスの男の子の元へと歩み寄った。悔しいけど今回は完敗だ。これをきに私も走り込みを開始することを決めた。
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