大好き‥だよ。
キーンコーン カーンコーン

下校の合図のチャイムが鳴った。
走り回っていた皆の足が一斉に止まり、その場で呼吸を整えていた。その間に、私達は鉄棒から下りてランドセルが置いてある場所へと向かい、皆が戻ってくるのを待った。

華代と今日の宿題の確認や、明日の授業の事を話していると、6人は肩を組んで仲良く現れた。

『あ~疲れた。
しばらく鬼ごっこはイイヤ(苦笑)』

『俺も(笑)』
『だな‥』

ランドセルを枕代わりにして、大の字になってその場に寝転がっていた。私は自分のランドセルの中から下敷きを取り出し、3人に風がいくように大きく仰いだ。

『お疲れ様』

人工風に気付くと3人は見上げて茫然としていた。もっと風がいくように、その場にしゃがみ込んで下敷きを仰いだ。走り終わった後の風が一番気持ちが良いって事は、充分知っていたから、皆の為になるならと思ってやっていたのに‥違う所に疑問を抱いていた。

『ってか、何で今日は桜井参加しなかったんだよ!?』

『ん?今日はね~鉄棒やりたかったの』

『桜井が入ってくれたら、絶対こんなに疲れなかったのに』

『私のせいだって言うの?』

下を覗き込むと、3人は何度も何度も頷いていた。本気で言ってるんじゃない事に気付いていたけど、動かしていた手を止めて立ち上がった。

『そんな事言うなら、もう仰いであげないよーだ』

舌を出してブルブル震わせ、自分自身に風が来るように仰いでいると、それを見ていた悠君や小林君が笑い出した。私も華代と目が合って、つられて笑った。


しばらく笑っていると、和樹君が突然声を上げた。

『なっ!!みんなで陸上クラブに入らないか?』

『『はぁ?』』

突然何言い出すんだよ、という顔で全員が和樹君を見た。どんな反応をするのか様子を伺っていると、そのまま頼りない足取りで少し段になっている所へ歩いていった。そして、私達と向き合うように振り向き、順に眺めた。
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