大好き‥だよ。
『結、早く~!!』

遊園地の入り口を抜けると同時に華代が走り出した。私もすぐに追いかけると、華代はその場に立ち止まって振り返り、私の手を取った。

『ねっ、メリーゴーランドに乗ろうよ!』

『うん!!』

平日なので思っていたより遊園地は空いていた。見渡す限り、どの乗り物も並ばずに乗れそうだけど、気持ちは高ぶっていた。

『華代‥。最初はジェットコースターにしないか?』

『ダーメ。最初はメリーゴーランドが良いの』

『‥‥‥』

和樹君は渋々私達の後を着いてきた。


遊園地内はグループ行動をしなければいけなかった。1グループ5人組で構成されていて、メンバーは事前に自分達で決めることが出来た。私のグループには、華代と和樹君と悠君と俊チャンがいた。遊園地に来れたことも嬉しいけど‥でも、俊チャンと同じグループになれた事もやっぱり嬉しかった。

華代に感謝しながら歩いていると鋭い視線に気付いた。恐る恐る向くと華代がニヤニヤした顔で見ていた。

『な、何?』

『ううん(笑)』

声に出して笑いたいのを必死で堪えてるように思えた。そのまま見続けていると華代のペースに引き込まれてしまいそうだったから、視線を前に戻して3人と少し距離が離れていることを確認してから話し始めた。

『ありがと‥ね?』

『何が?(笑)』

私が何に対してのお礼を言ったのか、分かっているのに気付かないフリをしていた。

『だから‥』

その続きを言おうとしたら、華代の声にかき消された。

『メリーゴーランドの後はジェットコースターに乗ろうね。でも私の隣は和樹だから。何が言いたいか分かるよね?』

華代はそう言って、頭を私の腕にもたれさせてきた。細くて柔らかい髪が風に靡くと、少しくすぐったかった。こんな風に甘えられたら、女の私ですら胸がキュンとして華代を力いっぱい抱きしめたくなった。

ふと我に返ったときには、完全に華代のペースに引き込まれていた。

メリーゴーランドの後は、ジェットコースターに乗るという事に全員が納得していた。今さら次の乗り物を変更することも、華代の隣をキープすることも出来ない状況になっていた。

半ば諦めて乗り物に腰を下ろした。
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