大好き‥だよ。
結局、最初からあまり乗り気ではなかった男3人はメリーゴーランドには乗らなかった。回転している途中で3人を見つけると、上機嫌に手を振る華代とは対照的に、私は次の乗り物の事で頭がいっぱいで、全然楽しめなかった。

あっという間の5分間。
ずっと眉間にしわを寄せていろんな事を考えていた。


『あぁ、楽しかった』

華代はスッキリした顔で和樹君の前に立った。

『よし!じゃあ、次行くぞ~』

『うん!!』

完全に2人だけの世界に入り込んでしまった。手を繋いでスキップなんかしちゃって‥。誰がどう見ても、課外授業でここに居るなんて到底想像がつかない。

取り残された私達はというと‥

俊チャンと悠君が並んで歩いていて、その後ろを一人でポツンとついて行った。みんな予定通りに行動しているのに、何だか私だけが取り残されているような。そんな気がして少し寂しかった。

「俊チャン、あのね、次は一緒に‥」

緊張と不安と小さな期待を感じながら、声を張り上げて言いたかった。大きく息を吸って、止めて。でもすぐに吸った分だけはいた。それを何度か繰り返したけど、なかなか勇気が出なくて怖気ついてしまった。その後は、じっと俊チャンの背中を見つめていた。

あれ?
少し‥肩幅広くなったかも。そんなことを思いながら足元に視線を落とした。


少し歩くと小さな石が転がっていた。軽く蹴ったつもりだったけど、石は勢いよく跳んでいきどっちかの靴に命中した。まるで、私の存在を知らせてくれたみたいだった。

ゆっくりと顔をあげると、俊チャンが振り返った。クスッと笑ったかと思ったら、突然足を引きずって歩き始めた。

『痛ってぇ。足がズキズキ痛むから肩貸して(笑)』

『えっ、ごめんね!当てるつもりなんて‥』

私達の会話を聞いて、悠君も振り返った。

『何で結さん、そんな後ろにいるの?早くこっちにおいでよ』

笑顔で手招きしてくれたので駆け足で近寄った。自然に2人が距離をとったので私が間に入った。左側に悠君で、右側が俊チャン。

肌が触れそうだったので緊張したけど、2人のぬくもりが伝わってきて安心した。
< 233 / 270 >

この作品をシェア

pagetop