大好き‥だよ。
『あれ?皆は?』

誰かが私に向かって話しかけてきた。クラスの男の子だと思い適当に返事をすると、頬にひんやりとしたものが触れた。

『キャッ』

びっくりして目を見開くと、私の前に立っていたのは俊チャンだった。

『え?な、な、な、な‥』

『これやるから落ち着け(笑)』

左手に持っていた缶ジュースを私に渡すと、隣に座って右手に持っていた缶ジュースを飲んでいた。そんなはずない。俊チャンはさっき華代たちと一緒に‥

鈍っていた思考回路をフル活動させて数分前の記憶を呼び起こした。

あれ?俊チャンもいたよね?

気分が悪かったこともあり、人の顔がぼやけていて何人いたとか、どんな話をしたのかなど記憶は曖昧だった。


『ねぇ~俊チャン‥』

『ん?』

『もしかして、引き返して来てくれたの?』

缶を両手で掴み、目をキョロキョロさせながら返事を待った。そんなはずない。でも、もしかしたら‥

小さな望みを抱いていた。

『引き返すって言うか、トイレに行ってたから戻ってきた。そしたら和樹とか見当たらなくてさ』

『あっ、トイレに行ってたんだ‥』

私から笑顔が消えていった。

『で、あいつ等は?』

『3人は何かの乗り物に乗ってるはずだよ』

『はぁ?じゃあ、一人取り残されたのか?』

『ううん』

体を俊チャンの方に向けて頭を横に振った。

『そうじゃないの。迷惑かけたくなかったから、私がみんなに他の乗り物に乗って来るようにって言ったの。私が‥』

必死に訴えると、俊チャンは缶ジュースを一気に飲み干し、ゴミ箱に向かって投げた。

『ナイッシュ☆』

言葉通り、見事にゴミ箱の中に入った。


『さて。じゃあ俺らも行くか』

その場に立ち上がって、欠伸をしながら大きく背伸びをしていた。
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