大好き‥だよ。
『悠君、いつも私を見ててくれて本当にありがとう。凄く嬉しかったし、悠君がいてくれるって思ったら心強かった。陸上クラブも皆と一緒で本当に楽しかったよ。遊園地に行った事も運動会も音楽会も、全てが大切な思い出。離れ離れになっちゃうけど、この思い出は色あせることなく皆の心の中で輝き続けると思うの。

悠君の事は‥‥好きだけど‥それは友達としての好きであって恋愛対象としては‥みれない。私が好きな人は昔も今も。そしてこれからも‥ずっと一人だけだから。

だから、ごめんなさい』


気持ちを伝え終わると、悠君の手が離れた。

『なんか俺‥前も同じようなセリフで振られたような気がする(苦笑)』

いつもの優しい声に戻っていた。
気持ちに応える事が出来なくて、遣る瀬無い思いでいっぱいになった。

『ごめんなさ‥』
『結さんも俊も、どうして本人を前にすると素直になれないんだろう』

『えっ?』

私の驚いた顔を見て、悠君はしばらく何も言わずに笑っていた。


『昨日、俊が家に来た』

『俊チャンが?』

『うん。見送りに行けないからって練習帰りに。そのとき、俺は結さんが好きだって宣戦布告した』

宣戦布告‥‥
俊チャンはどんな反応をしたんだろう。

驚いたかな?それとも無反応?
慌てたかな?冷静だったのかな?

いろんな想像をしてたら、大丈夫?って悠君が私の顔を覗き込んできた。

『うん、大丈夫‥』
『知りたい?(笑)』

悪巧みを考えているような笑みで見てきた。私の考えなんて悠君には全部お見通しで、急に恥ずかしくなってきて反対の方を向いた。

『知りたくなんか‥』
『本当に?(笑)』

後を着いて来て冷やかしてきた。
その後も精一杯否定したけど、でもやっぱり知りたくて‥

『教えて‥?』

って言ってしまった。

『最初からそうやって素直に言えばいいのに』

呆れるわけでもなく、私と目を合わせてにっこり笑った。
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