大好き‥だよ。
私の姿が見えなくなった後、悠君は大きなため息をついた。

『何言ってんだろ、俺。格好悪っ‥‥』

髪の毛をクシャクシャに掻いていると、背後から声が聞こえた。


『ばーか(笑)』
『お人好し』

悠君は後ろに誰かがいるなんて思っていなかったので、びっくりして振り返った。2人は廊下の壁にもたれながら悠君を見て笑っていた。家の中の荷物は全て外に出されているので3人の声は廊下によく響いた。

『聞いてた?』
『途中から(笑)』

和樹君のニヤけた顔を見て再びため息が出た。

『はぁ~‥』

その場にしゃがみ込むと、華代は悠君の肩に手を置いた。

『でも男らしかったよ。2人の事が本当に大好きなんだなって思った。昨日俊君がここに来たことまで教えちゃうなんて、悠君らしいね』

『イヤ、そこがこいつの欠点なんだよ。俺にみたいにガンガン攻めないと』

そう言って、華代を自身の胸に引き寄せた。身を寄せた華代を見れば、どのくらい幸せなのか言葉にしなくても伝わってきた。

『はっ。確かに和樹の言う通りかもな(苦笑)次アタックする相手には、少し強引にいくようにするよ』

右手の親指を立てて前に突き出した。
でも、表情は固くとても辛そうだった。

『あの2人には幸せになってもらいたい‥』

天井を見つめ涙を堪えたが、大きな一粒の涙が頬を伝って地面に零れ落ちた。


3人がこんな会話をしていたなんて、私も俊チャンも全然知らなかった。自分の事のように心配してくれて、支えてくれて、背中を押してくれる。そんな友達を作れたことを誇りに思った。
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