大好き‥だよ。
『遅いぞ、俊!!』

和樹君は、持っていたサッカーボールを俊チャンに向かって投げた。


『悪ぃ』

俊チャンは簡単にボールをキャッチした。
そして、2人は腕を組んだりハイタッチをしたりしていて、完全に私の存在を忘れていた。

そんな2人のやり取りを、ボーっと見ていると俊チャンから話しかけてくれた。


『結チャン、ありがとう。後は俺に任せて!!絶対勝つから』

そう言って私に笑いかけてくれた。


『ベンチから応援してるから、頑張って』

私も俊チャンに笑いかけた。
私の視界には、俊チャンしかいなかった。今だけ。少しの間だけ2人だけの世界にいるような錯覚を感じた。




『桜井~俺の応援はしてくれないの?』

和樹君の泣きそうな声で現実に引き戻された。


『和樹君も頑張って』

「も」を強調して言った。
「ついでかよ~」って笑っていたけど、なんだか嬉しそうだった。


『よし俊!大量得点で勝つぞ!!』


『オッケー』

2人は、サッカーボールをパスし合いながら校庭の中心まで走って行った。





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