大好き‥だよ。
『ゴール!!』

俊チャンがゴールを華麗に決めると、すかさず和樹君もすぐに決めた。他の人は、ヘトヘトになりながら走り回っているにも関わらず、2人は疲れた表情を見せなかった。むしろ、今の状況を楽しんでいた。
さっき、同じチームでプレイしている時よりも2人が輝いて見えた。


キーンコーン カーンコーン
下校時間の鐘が校庭に鳴り響いた。


『下校時間か。仕方ない。この勝負は次までお預けにするか?』


『そうだな。次こそは俺のチームが勝つから』


『どうかな(笑)』

2人はボールを蹴りあいながら、私の近くまで来た。私は「お疲れ様」と言いながら2人を笑顔で迎えた。
クラスの男の子は次々にランドセルを背負い始めた。


『じゃ俺帰るな。また明日』

『おう!またな』

『俊、また明日』

『明日学校で』

クラスの男の子が手を振りながら帰って行く。


『桜井も明日学校で』

えっ!?
帰り際、和樹君が私に挨拶をしてくれた。最初は驚いたけど、仲間になれた感じがして凄い嬉しかった。

『うん!!また明日学校で逢おうね』

私は大きく手を振って見送った。
そして、いつの間にか校庭にいるのは、私と俊チャンだけになっていた。



『えっと~‥私も帰るね‥?』

俊チャンに向かってそう言うと


『じゃあ、俺も帰ろう。途中まで一緒に帰らない?』

俊チャンから誘ってくれた。私は笑顔で「うん!!」と返事をして校門までスキップをした。


『俊チャン、早く!!』

『俺、結チャンみたいにスキップ出来ない』

俊チャンは走って私のところまで来てくれた。


『この時間は車の交通量が多いから、歩いて帰ろうな?』

覗き込むように見てきたので、私は思わず下を向いて「うん」と返事をした。
少しずつ顔を上げていくと俊チャンと目が合った。

『行こうか』

そう言って、私を安全な方に寄せて車が通る方に俊チャンが来て、私たちは歩き出した。
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