大好き‥だよ。
学校を出てすぐの道は狭く、車がすれ違うのがやっとだ。そんな危険な道を私たちは毎日、通学路として使っている。

朝の通学時間は、保護者の人が「交通安全」と書かれている旗を持って立っていてくれているが、この時間は誰もいない。
そんな危険な道を歩いていると、何台かの車にクラクションを鳴らされた。でも、これ以上避けられない。そんな時、俊チャンが一旦歩くのを止めて私の前に立った。


『危ないから一列になって帰ろう。俺が先を歩くから、結チャンは俺の後についてきて』

私は「うん」と頷き、再び歩き出した。


「またクラクションを鳴らされるんじゃないか‥」私は恐怖と共に小走りで歩いていた。そんな私の行動に俊チャンは気がつき、少し歩くと振り返り、また少し歩くと振り返り。私の様子を伺いながら歩いていた。

私は、そんな彼の行動にも気付かず、ずっと下を向いて俊チャンの靴だけを見て歩いていた。


『もう大丈夫だよ』

私は「はっ」として上体を起した。辺りを見渡してみると、いつの間にか裏道まで来ていた。さっき歩いていた風景とは一転して、周りは田んぼしか目に入らなった。思わず大きな吐息が出た。


『息‥とめてたの?』

俊チャンが心配そうに私を見てきた。


『少し怖くて‥。でも俊チャンが近くにいてくれたから心強かったよ。ありがとう』

私は微笑んだ。すると俊チャンがボソッと言った。

『結チャンを守れてよかった』


えっ!?
この時の私の顔は絶対に真っ赤だったと思う。でも、日が沈んで暗かったから私の顔色までは見られなかった。

「俊チャン・ノートに書き込もう!!」
俊チャンがボソッと言った言葉を、頭の中にある記憶の玉に終い込んだ。そして私は聞こえなかったふりをした。


『ねぇ~今何て言ったの?』

『今?何も言ってないよ』

そう言いながら、私に背を向けて歩き出した。


『ウソ!何か言ってたじゃん』

私も俊チャンの後を追いかけて歩き出した。

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