大好き‥だよ。
『ねぇ~俊チャン‥』

『何?結チャン』

『あの~さ‥』

今日の放課後、田中さんと何の話してたの?校庭に来るまで2人きりでいたの?
聞きたいことは山ほどあるのに、勇気がなくて聞けなかった。でも‥知りたい。2人の間に何があったのかを。

私から話しかけたのに黙り込んでしまった。


すると‥

『結チャンはさ、席替えしたい?』

俊チャンが聞いてきた。

『席‥替え?』

私は、質問の答えを導き出すことが出来ないでいた。俊チャンから話しかけてくれた事に驚いていて、思考回路が停止していたのだ。そんな私の様子に気づかず、俊チャンは話を進めた。


『今日の放課後、職員室に副学級長と一緒に行った時に、担任の先生から席替えについて聞かれてさ。俺は面倒くさいからやりたくないって言ったんだ』

『田中さんは‥何て?』

『田中って誰?担任の名前?』

『違うよ!副学級長の女の子』

『あ~。あいつ田中って言うのか‥』

俊チャン。本当に名前覚えるの苦手だよね‥隣の席の女の子の名前、まだ覚えてなかったんだ。田中さんに対して少し同情した。
「それで田中さんは?」私は質問の答えを催促した。


『そういえば、あいつも席替えはしたくないって言ってたな』

『やっぱり‥』

田中さんもきっと、席替えをしたくない理由は私と同じだと思う。


『席替えって面倒くさいもんな』

俊チャンには、どうして私たちがやりたくないのか分かっていなかった。私はあえて「そうだね」と、話を合わせることにした。


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