大好き‥だよ。
『それから、クラスで何かやりたいことはないかって聞かれた』

『クラスで?』

『そう。それで田中がホットケーキを作るのはどうかって提案してさ』

『へぇ~、ホットケーキかぁ』

私‥料理苦手なんだよね。俊チャンの前で出来る女の子を披露したかったけど、こればっかりはお手上げ。今日から始めようかな‥料理。

私はそんな事を考えていた。


『でもさ、料理とかあいつ等がやりたいなんて言うか?面倒くさいとか言ってやらなさそう。多数決になれば男の方が人数が多いからやらなくて済むかも』

『そうかもね。私も俊チャンの作戦に賛成!!』

『結チャンが見方なら心強いかも』


えへへへ。
今の言葉もノートに書き込んじゃうんだから!!今日は書くことが沢山あった。



その後も、放課後のサッカーの話で盛り上がった。次やるときも、また誘ってくれるって約束してくれた。その日が来たとき、またこうやって一緒に帰れたら‥と、密かに思っていた。


私たちは、手が触れるか触れないかの距離で歩いていた。裏道を歩いているとき、2台だけ私たちの横を車が通り過ぎた。車のライトが眩しかったので、車とすれ違うときだけ足をとめた。

その都度、俊チャンは私を田んぼの方に寄せて守ってくれた。私は何度も「ありがとう」と言うと、俊チャンは「どういたしまして」と言いながら私に微笑みかけてくれた。



ドキドキが止むことなく、それでも何処か居心地が良かったこの時間。
でも‥あっという間に別れの道に辿り着いてしまった。


『俺、こっちだから』

そう言って帰る方向を指差した。

『私は、こっち』

反対の道を指した。


『じゃ‥また明日学校で逢おうね!!』

私は大きく手を振った。

『気をつけて帰るんだよ。また明日』

俊チャンは走って帰って行った。私は、しばらく呆然と後姿を見つめていた。



『そろそろ帰ろうかな‥』

私も家に向かって歩き出した。

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