大好き‥だよ。
次の日、いつもより早く家を出て学校に向かった。目覚めがよかったので久しぶりに走ることにした。

私の前には、上下ジャージの服を着たおじさんが走っていた。でも、このおじさん何度も後ろを振り返りながら走っていた。私も釣られて後ろを振り返ってみたけど、誰もいなかった。私とおじさんの違いって何だろう?

そんな事を考えながら走っていると、ランドセルの中の音が五月蠅いという事に気がついた。その原因は、今日の授業の教科書が少ないから、筆箱やノートが飛び跳ねているということ。

「もしかして‥おじさんに迷惑をかけているのかな?」そう思い、一度走るのを辞めてみると、おじさんは一度も振り返ることなく軽快に走って行った。

「悪いことしちゃったかな‥」自分の非を認め、そこからは歩いて学校に向かった。




20分後

ようやく学校に到着した。私は下駄箱に向かうのではなく、真っ先に行った場所は


『おはよう』

そう。昨日ボールを見つけられなかった草むらである。

『桜井、おはよう。お前も早く来てくれたんだな。ありがとう』

『えっ?お前も‥??』

って事は‥

『あぁ。ほら、あっちに俊が』

そう言って俊チャンがいる方を指差した。

『俊!桜井が来たぞ』

俊チャンの手が止まり、その場に立ち上がった。

『おはよう、結チャン』

そして、走って私のいる所まで来てくれた。


『おはよう、俊チャン。ねぇいつから学校に来てたの?』

『え~っと‥1時間くらい前からかな?』

『そんなに早く?それでも見つからないの?』

『そうなんだよな‥一体何処にあるんだか‥‥って、おい和樹!!今すぐこっちに来い』

『んだよ!?俺は今ボールを捜してるんだよ』

『いいから!!』

嫌々ながらも軍手をした和樹君が私たちの傍に近寄ってきた。


『なぁ~‥これ‥だよな?俺らが捜しているのって‥』

『‥だよな‥』

『‥そう‥みたいだね。こんな所にあるなんて‥』


捜していたボールは「考える人」の像の足元にポツンと転がっていた。
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