大好き‥だよ。
『いいわよ。松浦君の提案を呑みましょう。そうだわ!今の提案にプラスして、道徳の時間を体育に変更してあげるわ』

『先生、今の本当?』

『えぇ、本当よ』

『やっぱなしとか無しだからね!』

『大丈夫よ』

先生の笑顔を見てクラスの男の子達は確信したのか、ハイタッチをしたり音楽室を走り回ったりして体中で喜びを表現していた。和樹君は、肩車の上に立って笑顔でピースサインをしていた。

そんな和樹君の姿を嬉しそうに目で追っている可愛い女の子が私の横に一人。


『近くに行って来れば(笑)』

私は華代の耳元で囁いた。

『む、無理よ!!』

右手を一生懸命横に振って焦りだした華代の顔が見る見る赤く染まっていった。「幸せそう」私まで嬉しくなってきた。すると、今度は華代が私の耳元で囁いた。

『俊君、かっこよかったね』

華代の笑顔につられて微笑んだ。「うん!!」私は大きく頷き、真っ赤になった顔を隠すように、窓の外を流れる雲を眺めた。


クラスの子達の様子を見守っていた先生は、静かに俊チャンの肩を叩いた。

『学級長、なかなかやるわね』

俊チャンが後ろを振り向くと、先生は微笑んでいた。

『何がですか(笑)それより、さっきの約束忘れないで下さいよ』

俊チャンもまた先生に微笑み返した。



パンパンパン

誰かが手を叩いた。

『よし、優勝目指して練習始めるぞ!』


『『『おう!!』』』

クラスが一つにまとまった。


そして、この日から音楽会に向けて猛練習の日々が続いた。
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