大好き‥だよ。
小林君みたいに、一度頭を下げてから話し始めた。


『桜井結です。私の将来の夢は‥将来の夢は‥』

下を向いてスカートの裾を掴んでいると、先生が優しく話しかけてくれた。


『桜井さんの夢は何ですか?』


『‥保育園の時は、お花屋さんになりたかったです。でも今は‥』


『今は?』


『大好きな人のお嫁さんになりたいです!!』

私は俊チャンを見つめながら言った。でも、俊チャンは外を見ながら大きなあくびをしていた。


『まぁ。もしかして、今好きな人とかいるのかな?』

私は頷いた。


『そうなんだ。結婚式には先生も呼んで欲しいな』


『‥はい』

私はしょんぼりしながら席に着いた。



『では、次は松浦俊君、お願いします』

俊チャンの番が来た。俊チャンの夢って何だろう??私はわくわくしながら俊チャンを見ていた。


『松浦俊です。僕の将来の夢は、プロ野球選手になることです。サイン欲しい人は後で来てください』

みんなの前でピースをしてから席に戻った。


「かっこいい!!」私は心の中で叫んだ。


「ねぇ、俊君って先生言ってたっけ?彼かっこいいよね!!」

「うん、かっこいい。後で話しかけようよ」

「そうしよう!!」

女の子のヒソヒソ話が聞こえてきた。


「止めてよ!!私の大好きな俊チャンに近寄らないで!!」そう言いたかったけど‥言えなかった。だって、私の気持ち‥たぶん俊チャンは気付いてないと思うから‥


俊チャンは、女の子たちのヒソヒソ話が聞こえているのか聞こえていないのか‥外を眺めていた。
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