大好き‥だよ。
『今日は、残念なお知らせがあります。
実は、田中さんは今日でこの学校を辞めて、明日からは違う学校に行く事になりました。最後にクラスの皆とサッカーをした思い出を作りたいと、前々から言われていて、それで今日総合学習という名目で、こうして最後の思い出を作りました。

楽しかったって言ってくれてよかったね。じゃあ、田中さん。クラスの友達に最後の挨拶をして下さい』

『はい‥』

田中さんは先生の前で軽く頭を下げてから話し始めた。


『皆さん短い間でしたが、私と遊んでくれたり、話をしてくれて本当にありがとうございました。明日から逢えなくなると思うと、本当に寂しいけど‥でも新しい学校で沢山の友達を早く作って頑張りたいと思います。

本当にありがとうございました』

そう言って、今度は深く頭を下げた。


『本当にいなくなっちゃうの?』

『うん‥』

『音楽会のときピアノ上手だったよ、ありがとう』

『私の方こそありがとう』

『調理実習のとき教えてくれて、ありがとう』

『美味しかったよね』

『副学級長、お疲れ様』

『ううん。俊‥学級長がいたから‥私、頑張れたの』

そう言って、俊チャンに近寄った。


『俊、今日までありがとう。私、いつも迷惑ばかりかけてたよね。
音楽会の頃はいつも一緒に居られて嬉しかったんだ。俊はどんな思いでいてくれたのか分からないけど‥』

頬を少し赤らめながら話していた。

『何か、それって告白っぽくね?』

『言えてる~(笑)』

クラスの男子に冷やかされても、決して怯む事はなかった。
それって何を言われても、今日が最後だからなの?それとも‥誰に何を言われようと気持ちは変わらないって事なのかな?

田中さんの堂々とした態度に、心がチクチク痛んだ。


『私ね、俊の事が好きなの。遠く離れてもこの思いは変わらない。俊は私の事‥どう思っているの?聞かせて』

『俺は‥』

俊チャンの答えを聞こうと、女子だけでなく男子も息を凝らして待った。
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