大好き‥だよ。
先生にも何となく今の状況が分かったらしく「俺の机の前に整列した順位に、名前を書き込め」と声を張って言った。それを聞いた女子は一斉に先生の机の前に並び、名前を書き込む順番が漸く決まった。

ペンを掴むと女子の目つきが変わった。それを見ていた華代が、私の横で言った。

『どうしてあんなに必死になるんだろうね?学級長があんなに嫌がってるって事は、副学級長も同じ様に嫌だと思うのが普通じゃん?』

私は一度華代に目をやると、すぐに黒板に視線をずらした。

『これは‥特別なんだよ‥』

自分の気持ちを素直に表現できるクラスの女子が羨ましかった。


田中さんが転校してからは、人一倍目立って俊チャンに近づく人はいなくなった。2人とか3人とか‥数人で近くまで来て自分をアピールしていた人はいたけど。

私も、話したいことがあって近寄ったりもしたけど‥他の子と話をしているときは「邪魔しちゃいけない」と思い、その場から何度も逃げ出していた。どうしたら誰の目も気にせず話しかけられるんだろう?

そんな事を考えていると、華代が再び聞いてきた。

『結は書かないの?』

『へっ!?』

後ろにいる俊チャンに聞かれていないかゆっくり振り向くと、和樹君と教室の後ろで話していた。それを見たら大きなため息が出た。

『それで結は書かな‥』

そこまで言うと、最後に名前を書いた由愛が叫んだ。


『これ、おかしいよ!!』

その声にクラス全員が黒板に注目した。

『おかしいって何が?』

あみだを書いた小林君は不思議がっていた。

『だって‥私が最後だと思ったら、あと2本残ってるんだもん!!』

『あっ!!』

小林君は右手で自分の頭を「ポン」と一回叩いた。

『そうだった。2人は参加しないんだったね』

苦笑いをしながら、私と華代の顔を交互に見た。

『どうするの?』

由愛が黒板とにらめっこをしていると、先生が立ち上がった。
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