アタシタチノオウジサマ
あまりの孤独さに頭がおかしくなったのか。

ある日机の引き出しにしまわれた彫刻刀を見つめていた。

それは、小学校の図工の時間に使っていたもので、そんなところにしまってあったことも忘れているくらいだった。

なのに、あたしは無意識に切り出し刀を取り出していたのだ。


切り出し刀は、あたしの左手首にかすかな赤い傷をつけた。

リストカットは漫画で見たことがある。

よく、リストカットする人は痛みを感じないだとか、傷は一生残るなんて言うけど、あたしのは違った。

切るときに痛みを感じるし、2週間もすれば傷は綺麗に消えた。

多分血が出るほど深くなかったからだと思う。

だけど、あたしの手首が綺麗な状態でいることなんてなかった。

一つの傷が消える度に不安の衝動に駆られ、新たな傷をつけてしまう。

この繰り返しだった。



あたしは、自分という存在を呪っていた。
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