空に消えた恋


もう、なんなの?
朝から最悪...。

そう思いながら
車でウトウトしてると
運転手さんの御堂さんが

「お嬢様、お疲れですか?」

「お嬢様ってやめてください。
 馴れないんで(笑)」

「では、彩愛様。
 お疲れでしたら甘いものですよ。
 よければ、どうぞ(ニコッ)」

御堂さんは、そう言うと
赤い綺麗な包みのチョコを
2つ渡してドアを開けた。

「あ、ありがとうございます。」

「いってらっしゃいませ」

御堂さん、私が見えなくなるまで
頭下げてる...律儀だなぁ~。

御堂さんに見送られ、
学校に着くと、

「はぁ~...」

思わず、ため息をついている私に、
女の子達が話かけてきた。

『真希さんと上手くいってないの?』

そういった女の子は
心なしか、なんだか嬉しそう。
それにもイライラして、私は

「付き合ってないから」

冷たく言い放って、
御堂さんにもらったチョコを
口に入れた。
優しい甘さが口いっぱいに
広がってイライラがおさまってく。






...はずだったのに...





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