アイノウタ。


「逃げんなよ…」





藤野は何も言わない。





「麻衣と何があったかわ分かんないけど…俺とは関係ないじゃん…」





藤野の顔を見上げると


目にはいっぱい涙が溜まっていた。





「藤野…」


「お願い…誰のものにもならないで…」


「え??ちょ…藤野!?」





藤野はそれだけ言うと


俺の手をほどいて


どこかに行ってしまった。


藤野が去った屋上は


今まで見たことないくらい


静かに思えた。


< 94 / 133 >

この作品をシェア

pagetop