神様娘の憂鬱


「叶音、はやく!」

「い、いってきまーす!」



あの事件から1週間後、私は元の生活に戻った。


翼はというと気持ちが通じたからといって特にかわることはなく前と同じ。


とはいえ…


(ちょっとぐらい意識してくれたっていいのに・・・)


気持ちが通じたのにその上を求めてしまうのは、愛とエゴは紙一重ということなんだろうか。



「叶音!」

「はいはい。今いき・・・」


そう振り向いた瞬間、


え・・・・


驚きすぎて一瞬心臓が止まった気がした。

固まる私からそっと翼の唇が離れた。



「…ほら、行くぞ」

翼はなにもなかったように言ってスタスタと歩きだした。



ななななななっ///


「な、なにやっ・・・。だ、大天使になるまで手出さないって…!」


口元を押さえてそう言うのに精一杯だった。


しかもわ、私のファーストキス・・・!


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