神様娘の憂鬱
「ほんと、いい加減にしろよなっ!」
走りながら翼が叫ぶ。
「し、仕方ないでしょ!それに走っていけば間に合うって!」
「信号に捕まったら遅刻だぞ!」
「大丈夫だって!」
翼の言葉に私は笑った。
そして私達が信号に近づいた瞬間、赤だった信号が青に変わった。
それも1つじゃなくて、どんどん変わっていく。
こうして信号に1つも引っかからずに学校についた。
「ハァ・・・ハァ・・・」
ま、間に合ったぁー!
朝からのダッシュはキツくて膝に手をついた。
「お前…“力”使っただろ?」
ギクーっ!
そっと翼のほうを見ると
じとーっと疑いの目で私を見ていた。
私は私で図星をつかれて、つい目を逸らしてしまった。
──翼が言う“力”とは『神力』といわれる力。
天界人には生まれ持っているもの。