神様娘の憂鬱
「つ、ばさ…」
翼は真っ直ぐ私を見つめていた。
そして首をクイッとやって『ちょっと来い』と合図して部屋から出た。
その時、心のどこかで警鐘が鳴った気がした。
――…着いた場所は病院の裏。
人気がないところ。
こんなところがあったことすら知らなかった私だけど、今はそんなことを考える余裕はなかった。
「・・・・」
緊迫する空気。
吹いている風が余計にそれを際立たせている気がした。
「…叶音。どうして、そこまでリカちゃんが気になるんだ?」
えっ…?
「ど、どうしてって・・・」
それは、偶然目にとまったからで…