Angel Tears, Devil Smiles
不意に、理性が軋む。
瞳孔が開いていくのが自分でわかる。負の感情とともにふつふつと。
それが自身の中で回転し、育ち、押さえ切れない激情へと跳ね上がった。

――殺す
理由なんかどうだっていい。こいつがいるせいで大気が汚れるから、心臓の鼓動音が気に障るから、という理由で十分だった。

笑った。
母は死んだ。私が殺したのだ。
両手足は、縛られたまま。
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