シュガー・ラブストーリー
02,姫 VS ストレス
俺の職場は、黄色い屋根と看板が目印の洋菓子店『COLOR』。
静かな住宅街の一角にある。
この店で修業を始めて四年。
休みが少ない、給料は安いという過酷な状況は変わらないが、俺にも後輩ができて少しずつ夢への道を切り開いている。
職人の世界は厳しい。
『教えてもらう』なんて受け身の姿勢は通用しない。
『技を盗む』といった意気込みがなければ成長できないのだ。
職場は戦場である。
そして、もっと言えば十二月は恐ろしい戦場が広がっている。
洋菓子店にとって一番忙しい時期、クリスマスがあるのだから。
今日も朝早くから一日中働きづめだった。
疲れ切った体で家路を急ぐ。
きっと、ヒメは今夜も来ているだろう。