シュガー・ラブストーリー
案の定、ヒメは居酒屋のカウンター席で潰れていた。
「おい、ヒメ。帰るよ。」
「う〜〜ん。」
ぐらんぐらん歩くヒメを支えながら、会計を済ませて店を出た。
「自転車はぁ?」
「自転車はダメでしょ。はい、ほらっ。」
自分でも慣れたものだと感心する。
俺は、愛しのオヒメサマをおぶって歩きだした。
「う〜〜ん」とうなだれるヒメの両腕がぶらぶらしながら俺の肩に乗っている。
ヒメの長くて柔らかい髪が頬をくすぐった。
ここまで飲むのには、必ず理由があるのだ。
「飲み過ぎだよ。何かあった?」
「う〜……店長うざい。客めんどくさい。」
ほら、きた。
ヒメのストレスは、大概アルバイト先のファミレスでの事。
洋菓子店で修業の身の俺も販売を担当した時期があるから、接客業特有のストレスは分かっているつもりだ。
でも、ヒメは意外と繊細だったりするから、半端じゃないストレスを背負ったりする。
所謂、ストレス発散方法というのがヒメの場合、酒なのだ。