シュガー・ラブストーリー
11,甘い罠
まだまだ冬ド真ん中の二月。
ヒメ兄・チサトが出ていった部屋は、今までどおり俺とヒメだけの生活に戻った。
仕事から疲れて帰ると、今夜もヒメは酔い潰れてテーブルに顔を突っ伏して眠っていた。
「ヒメー。風邪引くよ?」
「んー……。」
「おーい。ヒメちゃーん?」
ヒメは、目を擦りながら顔をあげた。
床にはワインの空き瓶が転がっている。
「いっぱい飲んだの?」
「飲んだぁ。」
俺が転がっている空き瓶を片付けようとすると、ヒメはぎゅっと俺に抱きついてきた。
「おっ!!お、おぉぉ!!」
弾みで倒れこんで、俺は床に転がっていた空き瓶に後頭部を打ちつけた。
「いっ!!!ってぇ!!!」