イトデンワ。
『その…社長令嬢は、好きなんだね。』
『俺は、嫌い。お前以外の女は、大嫌い。』
『傷付けたの?』
『俺は、正直者だから…部屋を予約されても、困る。部屋を予約するって!事は、男女がする“アレ”が目的って…事だろ!?』
彼の口から出た
“男女がする”
その言葉を聞き、
顔を背向く。
私の手を握る彼。
『断ったよ。全く、その気ねぇし…合うはずないからな!』
『何を?』
『相性だよ。体の相性が合わない。俺が合うのは、お前だけ。お前も俺と一緒だろ!?』
赤面。
『お前の体は、俺以外の男とは合わない。俺が、そうさせた。それに…』
頬に、
手を当て…
『俺以外の男なんて…眼中にないだろ!?こんな事、言えば…お前は、「そんな人、居ないから安心して!」そう言うに決まってる。でも、お前は段々…綺麗になってゆく。お前自身、気付いてないけど。お前に、久々に会う度…胸がドキッとする。俺の物でも…不安にもなる。神戸に居ても…な!』
『綺麗に?気のせいだよ。日常は変わらないし…素顔だし、地味だもの。あなたに相応しい女性にならないといけないって!思ってるんだけど…中々、なれなくて…メークも、頑張ってみたけど…上手く出来なくて、結局…いつもの私に!だから…不安を感じる事ないよ。』